明治初期の横浜浮世絵に描かれた蒸気戦列艦に関する若干の考察-7

-三代広重「横浜海岸鉄道蒸気車図」とフランス軍艦「ブルターニュ」-

7.まとめ

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1節
・本稿の導入として、三代広重の浮世絵「横浜海岸鉄道蒸気車図」に見える巨大な異国船が蒸気戦列艦であることを示した。
・また、作品制作時には既に過去のものとなっていたと考えられることから、舶来の資料を用いた想像上の情景である可能性を挙げた。

2節
・蒸気戦列艦の誕生から終焉までを概説し、それが僅か10年という極めて短い期間の出来事であったことを示した。

3節
・1858年のILN紙に掲載されたイラストが原画であることを確認した。

4節
・横浜浮世絵の船舶描写において、ILN紙の挿絵が高い頻度で活用されていたことを実証的に明らかにした。
・また、他の絵師たちが共時性を重視して出来るだけ新しいイラストを用いているのと対照的に、三代広重は10年以上前の古いものを用いていることを示した。

5節
・幕末・維新期における英国海軍の日本に対する砲艦外交の概観を行い、極東海域では蒸気戦列艦が1870年ごろまで活動しており、浮世絵の制作との間には当初考えられたほどの時間差は存在しないことを明らかにした。
・また、蒸気戦列艦が外交上の道具として活用され、日本人に強いインパクトを与えたことが、三代広重をして浮世絵にこれを描き込む動機となった可能性を示唆した。

6節
・三代広重が古い新聞を入手し得た背景に、当時の欧州の軍事情勢の歴史的変遷が在る可能性を提示した。

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