Koreaの偵察能力と「合同火力艦」計画

アーセナルシップ

パヨさんや似非平和主義者さんやお花畑アタマさんたちの切なるご希望に反して、我が国とKoreaの対立は先鋭さを増しています、ワクワク。

合同火力艦だってさ(笑)

Korea政府がGSOMIAの破棄を通告してきやがったのは、2019年8月23日でした。
その後の展開で明らかなように、我が国に対する一種のカードとして使いたかったようですが(〇〇してくれたら、破棄取りやめを考えても良いよ~)誰にも相手にしてもらえず、アメリカからは「無条件でGSOMIA協定更新」とか怒られ続けています。

GSOMIA破棄

GSOMIA破棄

このGSOMIAの破棄については、コチラの記事で情報処理の面から馬鹿にしてあります。

そんなゴタゴタの最中にKorea国防部が2019年8月14日に発表しやがった「2020~2024年国防中期計画」に興味深い点がありますので、また馬鹿にしてやりましょう。

お断りしておきますが、馬鹿にしてばっかりではいけません。いくら開発の手段が朴・李(パクリ)しかない、と言ってもです。まぐれ当たりってことも、無いわけじゃありませんから。

興味深い点、ってのは「合同火力艦」構想であります。
Korea計画の合同火力艦とは、有事に敵の陸上ターゲットを攻撃するための「ミサイル大量搭載艦」を新しく造ろうって計画で、もちろん国内建造であります。

私みたいな古いミリオタだと、記憶のかなり深い淵に沈んでると思いますが、この合同火力艦はアメリカ海軍が昔々に計画していた「アーセナル・シップ」の丸朴李であります。

違うのは大きさだけで、コンセプトはまるぱくり。

アーセナルシップは、Wikiによれば

戦闘艦の一種として外洋航行能力を備えた比較的大型の船体に、主に対地攻撃用の大量のミサイルをVLS内に搭載するが、戦闘用レーダーを搭載せず、自衛用兵器も最小限度に留めているなど、意図的に兵器搭載量のみを拡大させた艦とされた。

前例のない艦である為、艦種の分類は定かではないが、アメリカ海軍はこれを「21世紀の戦艦」と呼んだ。

ってことになっておりますな。

電脳大本営的には、戦艦ってぇのは攻撃力以上に防御力を重視したフネでありますので、アーセナルシップはとても「21世紀の戦艦」などとは呼べませんけどね。

さらに、アーセナルシップって、防御能力だけじゃなくて、索敵能力、つまりレーダーすらない攻撃専門艦なんです。当然、随伴してる戦闘艦からデータを貰っても自艦で解析する能力もありません。
本家のアーセナルシップは2万トンの巨体に乗員最大50名ですからね。戦闘艦としては滅茶苦茶少ない。ついでに言うと、このうち12,3名は女性を想定していたようです。

ロシア版アーセナルシップ

ロシア版アーセナルシップ

 

ですから、攻撃(他艦からデータを貰い、ミサイルを目標に向けて発射する)はほぼリモートコントロールでしょうね。
要はアーセナルシップはミサイルキャリアってことじゃないのかなぁ。

判らないのは、何と何を「合同」した「火力」かってことであります。まあ、Korea式の空疎な誇大名称である可能性が高いとは思いますけどね。

情報、集めることもできないじゃん

さて、上のリンクしておいた記事では、情報をインフォメーションとインテリジェンスに別けて
「インフォメーションからインテリジェンスを生産することが大事なんだよ」
って話がしてあります。Koreaには(その体制から)無理だ、ってことも。

ところが、ですね。Koreaはインフォメーションを取ることも出来てなかったそうでありまして。
アメリカが「KoreaによるGSOMIA破棄」を激しく批難する中で判っちゃった事なんですけどね。

ワシントンの安全保障研究機関「民主主義防衛財団(FDD)」の上級研究員さんのデービッド・マックスウェル氏はKoreaのGSOMIA破棄についての見解を、防衛問題専門紙の「ディフェンス・ニュース」(8月29日号)に論文としてまとめているんです。

マックスウェルさんは、我が国の左傾メディアが擁する「バイアス記者」とは違って「半島の軍事情勢に精通した専門家」と言えると思います。
この人が署名入りの論文として専門誌に発表したモノは、それなりの信憑性があると言って良いでしょう。

マックスウェルさんはGSOMIA協定の破棄はKorea側にとってきわめて不利になるとお書きになってるんですね。
日本は偵察衛星を使って北朝鮮内部のミサイル発射の動向などを探知できるのに、Koreaにはその能力がないというのが理由です。

日本とKoreaの越えられないギャップ

マックスウェルさんはアメリカ陸軍の将校として在Korea米軍の参謀本部に勤務しておられたそうです。
在Korea米軍では特殊作戦部長をお務めなったほか、在日米軍と国防総省でもご勤務ののち、大佐のときの2011年にご退役。
アメリカの国防大学やジョージタウン大学で「朝鮮半島の安全保障」などの講義をなさりつつ、FDDの研究員としてもご活躍でした(ということです)。

DavidMaxwell

DavidMaxwell マックスウェルさん(FDDのサイトから)

この論文は「Koreaは北朝鮮とその支援国の手中に陥っている」というタイトルで、Koreaが我が国との軍事情報を交換する協定の破棄を決めたことの誤りや危険性を強調したモノです。

この論文でとくに注目すべきは、
Koreaには人工衛星で北朝鮮内部の軍事動向を探知する能力が皆無
という指摘でありましょう。
一方、日本にはその偵察能力があるから、GSOMIAの破棄はむしろKoreaにとって不利だ、というワケです。

「そんなことは言われんでも判ってるじゃん」
とのお声が聞こえてまいりますが、まあちょっとだけお待ちください。

マックスウェルさんは論文で以下のように仰っておられます。

『Koreaと日本は2016年11月に、北朝鮮の弾道ミサイル発射と通常戦力作戦に関する秘密情報を含めた軍事情報を交換する協定『GSOMIA』に調印した。
だがKorea側の人工衛星による情報取得の能力は、南北軍事境界線の南側の領域対象だけに限られている。
一方、日本の自衛隊は、軍事境界線の北側の北朝鮮軍の動向を偵察できる偵察衛星数機を保持している。
GSOMIAはこうした両国間の情報収集ギャップを埋める協定だった』

良く考えてみましょう、これは驚くべき現実ではありませんか。
北朝鮮は長年にわたって、Koreaを公然たる「敵」とみなして、いつでも軍事攻勢をかけられるかのような言動をとってきました。

人工衛星(=偵察衛星)は我が国の場合、北朝鮮内部の弾道(だけじゃないかも知れん)ミサイル発射の兆候をつかむだけで良いのですが、Koreaにとっては地上部隊の侵攻の動きを掴む必要もありますよね。

既にリンクしておいた上記の記事では「Koreaは北朝鮮内部にヒューミント(人的情報)源を持っている」って前提で書いてるんですけど、マックスウェルさんはヒューミントについて一切触れておられません。

マックスウェルさんが書いておられないってことは、ひょっとして…
Koreaと我が国の情報ギャップは、私どもが想像する以上のモノがあるようです。

Koreaはそもそも宇宙に行けない

Koreaだって偵察衛星の「欠落」について手をこまねいていた、ってわけではないようです。
Koreaの中央日報などによりますと、Korea軍はレーダー搭載衛星4機と赤外線センサー搭載衛星1機の偵察衛星を計5機、2021年から3年間で打ち上げて運用するという計画を、2017年8月に発表しています。

この計画が完成する2023年まで、つまり2017年からの6年間は偵察衛星無しであります。
そこで、Korea軍が思いついたのが、「偵察衛星のレンタル」というアイデアであります。

産経新聞の記事であったように思うのですが、Koreaはイスラエル・ドイツ・フランスの3国に偵察衛星の借用を申し入れて、いずれも断られたというんですね。
結果として、現在にいたるまでKoreaは独自の偵察用の衛星を保有していません。

我が国の偵察衛星の準備をちょっと書いておきましょう。

先進光学衛星三菱重工のサイトか

「先進光学衛星」
三菱重工のサイトから

日本は北朝鮮のテポドン・ミサイルなどの脅威への対応策として、2003年頃から偵察衛星の打ち上げ計画に着手しています。
2013年には光通信衛星とレーダー衛星の2種類の偵察衛星を打ち上げて組み合わせ運用することで、北朝鮮内部の動きを探知できるようになっています。

偵察衛星はその後、機能強化・追加の打ち上げなどがありまして、現在は光通信衛星2機+レーダー衛星5機の運用体制が保たれているようです。
つまり、日本のように戦前からロケットを研究し、アメリカの技術も導入して試行錯誤を繰り返していた国ですら、満足できる偵察衛星を飛ばすには10年もかかる、ってことなんです(もちろん予算をたっぷりかければ、もっと早くなりますが)。

そこへ行くと、Koreaはまだ打ち上げ用の国産ロケットすらお持ちではないのです。
2018年の11月28日に「Koreaがエンジン試験用ロケット打ち上げ成功」というニュースが流れてましたけど、あくまでも試験用。
報道などによれば、このロケットは推力70トン級で、それはそれで大したものではありますが、コレは偵察衛星を軌道に投入するロケットの2段目。
一段目用にはこのロケットを4本束ねなきゃいけませんし、各段の切り離しの技術を、Koreaは持っていません。

ロケットを束ねるって言っても、ロープでくくっておけばOKってな話ではありませんしね。
4本束ねた各ロケットにひとまず均等に燃料を供給して、姿勢制御のために精密なコントロールをしなきゃいけません。

これらの技術を獲得しようとして、Koreaは一時期ロシアと「共同研究」をしてたんですけど、ロシアは何処かの島国と違って甘くないですからね。
結局ロシアは技術移転を拒否して、共同研究は解消されたはずです。

ロケットエンジンの燃焼試験に成功

Koreaがロケットエンジンの燃焼試験に成功

 

Koreaはイスラエル・ドイツ・フランスの3国に偵察衛星の借用を断られた、って書きましたけど、たぶん原因は「コレ」だと思いますよ。
偵察衛星の情報なんて、北朝鮮のモノならアメリカ軍に提供して貰えば済むこと。
それを、武器輸出できたら大喜びの三国に話を持ってったのは、何とか技術を盗もうとした、としか私には思えません。三国もそれは十分に判ってたでしょうから、お断りってことだと思います。

Koreaでは前の大統領だった「コウモリおばさん」が「2020年に月に太極旗を」とか言い出して、その素晴らしい国民性から「出来た気」になってたようですが(笑)。
まったく実現性のない「お伽話以前」だったんであります。月に行くどころか、大気圏から出ることは出来ないでしょうね。

総合火力艦に戻りまして

Koreaの宇宙技術の未熟や技術朴李体制の破綻をあざ笑うのも楽しいのですが、この記事は「合同火力艦」を馬鹿にするために書き始めたのでした。

長々と偵察衛星のことを述べましたのは、Koreaの「情報」に対する姿勢をご確認頂きたかったからであります。
つまり、Koreaはインフォメーションを取ることに努力できない国だ、ってことです。インテリジェンスの生産も出来ないんですけどね(笑)

世宗大王級イージス艦

世宗大王級イージス艦

さてさて、飛び交う情報を総合的に判断いたしますと、Koreaが建造するって言う「アーセナルシップ=合同火力艦」は以下の計画だと思われます。

①2020年代前半に2~3隻を国内で建造し、2020年代後半に就役

②Korea海軍の次期駆逐艦(KDDX)と同じ規模、排水量6000トン前後を予定(4000トン説も有力)

③既存の船体を流用するのではなく新規に設計する

④艦対地巡航ミサイル、艦対地ミサイル、弾道ミサイル等を100発程度搭載(VLS100セル)

⑤日本海側と黄海側に1隻づつ遊弋させて、北朝鮮全域の重要施設を攻撃可能(北朝鮮に対する強力な「抑止力」となる)

うーん、良いことづくめじゃな。我が国にとっても悪い事じゃないような気がする…ってワケありませんよね。

実際に建造することはありませんでしたけど、アメリカ海軍が昔々に研究して導き出したアーセナルシップの要求性能は「排水量20000トン・VLS(垂直発射装置)が500セルでした。

Koreaの合同火力艦はアーセナルシップに比べて、非常に規模が小さくて抑止効果は限定的ではないでしょうか。

しかも規模は糞小せぇくせに、「索敵・捜索・対空・対潜などの能力は非常に限定的か、搭載しない」ってところだけはアメリカ海軍のアーセナルシップに追随しています。

つまり合同火力艦は、(何度も書きますが)攻撃目標を選定したり目標情報を収集するなどの手段を持っていません。

つまりは随伴する(であろう)イージス艦や早期警戒機や地上の司令部から攻撃目標のデータを貰い指示を受けることが不可欠になります。
ところがKorea海軍は、このようなリアルタイムで情報を共有できるシステム(共同交戦能力)を整備していないのです。

独島級強襲揚陸艦

独島級強襲揚陸艦

合同火力艦は単艦では機能しないフネであることは明らかです。この部分をどのようにクリアするのか?明確になっていないことが、電脳大本営に疑念を抱かせてくれるのであります。

リアルタイムで情報の共有ができないとしますと。
合同火力艦に積んだ100発ものミサイルは、地上を移動する弾道ミサイルを搭載した車両などへの攻撃は不可能です。
事前に位置を調査してある建造物などの(動かない)地上の固定目標になら攻撃可能ですけどね。

さらにKorea海軍は対潜・対地攻撃用のフリゲート艦はソコソコ持っていますが、僚艦の防空(艦隊防空)が可能なイージス艦は3隻しかありません。
索敵能力がイージス艦よりかなり劣る駆逐艦も、皆さんご存知の「広開土大王」級3隻とその後継の「忠武公李舜臣」級6隻の計9隻しかないのです。

Koreaは今回の「国防中期計画」で、大規模な艦艇として排水量30000トン~40000トンの軽空母(並の強襲揚陸艦)を建造すると言っています。
それでなくても、Koreaは「独島級揚陸艦」を2隻持っていますから、自艦防衛能力のないアーセナルシップを3隻建造した場合、たった12隻の艦艇でどうやって護衛しようってんでしょうか?

我が国の海軍(自衛隊と仮称中)の場合、空母(化する予定)の「いずも型護衛艦」1隻に対して、最大でイージス艦2隻と護衛艦5隻が護衛に付くことになっています。

Koreaが新造の「軽空母」に日本海軍と同規模の艦艇を随伴させるとすれば、残るのはイージス艦1隻と駆逐艦4隻だけ。
独島級揚陸艦2隻、統合火力艦3隻に随伴できるのは各艦に対して1隻だけです。

李舜臣級駆逐艦

李舜臣級駆逐艦

Koreaはイージス艦を3隻追加で建造する予定らしいのですが、その3隻が就役するのは2030年頃。
「次期駆逐艦(KDDX)」6隻も、2020年以降に建造する予定と言われていましたけど、国防中期計画では「次期駆逐艦」に触れられていません。
「軽空母」に予算をとられて建造見送りになったのではないでしょうか?

我が国を攻撃するため、としか思えない

以上からKoreaが世界中のどの海軍も保有していない「統合火力艦」を建設するぞ、って言いだしたのは北朝鮮の先制核攻撃を抑止するためだろうと考えられます。

冷戦期の「相互確証破壊」の劣化コピー戦略。
つまり北朝鮮が先に攻撃してきて、Koreaの陸上戦力が大打撃を受けても、日本海と黄海に遊弋する統合火力艦が報復する。だから北朝鮮は先制攻撃を躊躇う、って算段。

しかし、ですね。アメリカやソ連の相互確証破壊戦略は「戦略原潜」の存在が大きくモノを言っています。
もし北朝鮮がKoreaを攻撃しようとするなら、行動を起こす前に居場所の判っている統合火力艦を沈めりゃ良いのですから、簡単に見つかってしまう水上艦では抑止力にはなり得ないのです。

護衛艦もついていないミサイルキャリアですからね。

って言うことは、統合火力艦は対北朝鮮のミサイル攻撃抑止を狙ったモノではあり得ません。

対地攻撃以外に、例えば水上目標や空中目標、地上でノロノロと行動する目標すら攻撃する能力を持っていません。

こんな統合火力艦がなんの役に立つのか?不思議でならないのですが、Koreaの近傍に
「脅威が国土の周辺をウロチョロしていても、絶対に先に攻撃してこない国」
があったら如何でしょうか。

「きりしま」から発射されるSM3ミサイル

SM3ミサイルを発射するイージス艦「きりしま」

Koreaの計画している「統合火力艦」は、我が国への攻撃用としか思えないんです。

それをしっかりと認識しておけば、ちゃんと出来たとしても(ご存知のように、あの国の軍事技術ではソレが大変なのだ)脅威にはならないですけどね。

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Koreaの偵察能力と「合同火力艦」計画” に対して1件のコメントがあります。

  1. 猫茶菓 より:

    アーセナルシップ すら始めて知った素人ですが、情報処理能力を持たせれば無人機の母艦兼ミサイルシップとして使えそうですね(要らない)

    韓国は空母が作れないことに気づいて別案だしたようにしか思えませんが、陸上基地でいい+漂流しそう+ミサイルコスト凄そう の3点セットですね
    その予算レーダーに回したほうが…

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