GSOMIA破棄~インフォメーションとインテリジェンス~

安倍総理

8月22日(令和元年)の夕刻、たまたま早めに帰宅して一杯やっておりますと、「あんたァ!Koriaがナンヤラを破棄やってぇ。テロップで流れてるで。」

安モンの発泡酒が、クリュッグのクロ・デュ・メニル(←一般的なドンペリよりちょっとお高い発泡ワインです)になったかと思いましたね(笑)
あんなにうまい酒を飲んだのは久しぶりです。(麦と雑穀がブドウになるかよ!などのツッコミは後日受付とさせていただきます)

反響

さっそくお世話になってるフェイスブック上の各グループに速報として流したんですけど、ホンの30分ほどで「いいね!」の数がうなぎ登り。しかも、各グループともコメントも多いこと多いこと。

殆どのコメントは「祝!K滅亡」「馬〇か?」「やっと別れられた」みたいに肯定的なモノでありまして、さすがに皆さんよくご理解だと思いました。

因みに、最後の「別れ」コメントは、私も家内にこの件を説明するのに使わせていただきました。
「儂がお前を捨てようと思うやろ、でも、お前に呉れてやるほどの財産が無い。悩んでると、お前の方から離婚届にハンコ押して持ってきた…みたいな感じやな」
もちろん、この後クリュッグ(実質発泡酒)のおかわりが出なかったのは言うまでもありません。

ムンキム

ムンキム

閑話休題。

頂戴したご意見の99%はKoreaによる「日本とのGSOMIA破棄」を喜ぶモノでした。でも、そうではなくて
「実際上の情報交換のメリットだけでなく、中朝への牽制も考えると…」
などのご意見もあるにはあるワケでありまして、コレは「GSOMIA破棄」の意味をちゃんと考えてみなきゃイカンなあ、と思った次第であります。

で、すでにいろんな識者の方々が「解説」をお書きなんで、電脳大本営では、少し切り口を変えて「情報戦」という点から見てみようと思うのです。

まずは事実認識を、読んでくださるみなさまと共有するために、この件の報道を。

政府は22日、「韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)」を延長せずに終了することを決定した。これによって去る7月の日本の貿易報復措置以後、最悪の状態に陥った韓・日関係が再び激浪の中に陥る見通しだ。

金有根(キム・ユグン)国家安全保障会議(NSC)事務局長(大統領府国家安保室1次長)はこの日、春秋館でブリーフィングを持って「韓日軍事情報保護協定を終了することを決定し、協定の根拠にしたがって延長通報時限内に外交ルートを通じて日本政府にこれを通知する予定」だと明らかにした。青瓦台はこの日の午後、鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安全保障室長の主宰でNSC常任委員会を開き、このように決定した。

NSCは常任委員会の次元でこのような結論を下した後、文在寅(ムン・ヂェイン)大統領に報告し、ムン大統領と参謀らが1時間程度の議論を経て終了すると結論を下した。この席にはイ・ナギョン(李洛淵)国務総理も出席した。

キム事務処長は、「政府は日本政府が韓・日間の信頼毀損で安全保障上の問題が発生したという理由をあげてホワイトリストから韓国を除外することで、両国間の安全保障の協力環境に重大な変化をもたらしたものと評価した」と述べた。キム事務処長は「このような状況では、政府は安全保障上の敏感な軍事情報の交流を目的として締結した協定を持続させることは、わが国の国益に合致しないと判断した」と付け加えた。青瓦台は「8・15祝辞」を通じてムン大統領が宥和のメッセージを送ったが、日本側の反応がなかった点を主要な意思決定の背景だと説明した。

米国政府が延長が望ましいという立場を複数回示したにもかかわらず、韓国政府がこのような選択を行ったという点で注目される。日本政府も延長の必要性を強調し、わが国の政府を圧迫してきた。

青瓦台はこのような決定を公式に発表する前に米国政府にも伝えたし、これまで米国側と充分な疎通を行ってきたと明らかにした。青瓦台の関係者は、「ジーソミア終了とは別に北韓の核問題など、域内の平和と安定のための韓・米間の平和同盟基盤には全く揺れがない」とし、「ジーソミアで揺れる韓・米同盟ではないと言える」と述べた。しかし米国政府がこのような決定をどのように受け入れるかが変数だ。

青瓦台が終了決定を下したのは、ジーソミアがなくても韓・日間の情報交換を行える手段があると見たからだ。

延長を行ったが情報交換をしばらくのあいだ中断しようという折衷案も有力視されたが、政府は原則として終了する正攻法を選んだ。青瓦台の関係者は、「折衷案の肯定的・否定的な側面を綿密に検討したが、難しい場合は原則が重要だと考えた」と述べた。峨山政策研究院のシン・ボムチョル安保統一センター長は、「政府が韓・日関係を厳重に認識して、超強硬な対応を選択したとみられる」としながらも、「間違った選択で安全保障の懸念と外交的孤立を引き起こし、韓・米関係の悪化を引き起こす可能性がある」と指摘した。韓国政府がジーソミア終了を決定したことと関連して、日本政府筋が「極めて残念」だと言って不快感を示したと日本の共同通信が伝えた。

(スマートニュース;もっとコリア)

わざわざKoreaの報道をチョイスしたのは、情報を公平に見ておきたいからであります。我が国寄りの報道はもうご覧になっているでしょうからね。

この文章から見ておくべきは、
「(日本が)ホワイトリストから韓国を除外することで、両国間の安全保障の協力環境に重大な変化をもたらしたものと評価した」
の部分でしょう。

イランを訪問した安倍晋三首相

イランを訪問した安倍晋三首相

Koreaは純粋な貿易管理(Koreaが「戦略物質」を我が国の許可なく敵性国に横流ししていた事例があり、コレを防ぐため)の問題をGSOMIA破棄の理由としてるってことです。
我が国は貿易管理上の問題とKoreaとの「歴史問題」などが同一視されないように慎重に扱ってきましたが、Koreaは「一緒くたにしたい」ようですね(笑)

と言いますか、一緒にしないと「SOMIA破棄の理由」などはどこにもありませんから。

さて、我が国政府の対応。

河野太郎外相は22日、韓国による日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄決定を受け、南官杓(ナム・グァンピョ)駐日韓国大使を外務省に呼び、直接抗議した。南氏は本国に伝えると答えたという。日本政府は、協定破棄の狙いに関する情報収集と分析を急ぐ。

河野氏は同日、GSOMIA破棄決定に関する抗議意思を表明する談話を発表し、「現下の地域の安全保障環境を完全に見誤った対応と言わざるを得ず、極めて遺憾だ」と批判した。

また、「韓国政府は、韓国政府による協定終了の決定とわが国による輸出管理の運用見直しを関連付けているが、両者は全く次元の異なる問題であり、韓国側の主張は全く受け入れられず、韓国政府に対し、断固として抗議する」とも指摘した。

(サンケイ;8月22日)

ちゃんと言うべきこと、って言うか「言っても良いこと」を抑制的に言ってますね。

河野大臣が、もしトランプさんだったら「立場判ってんのか?あー」なんておっしゃったに違いない、と思わせるコメントです。
トランプさんみたいに型破りじゃない限り、外務大臣とは言え、国際関係で口にできる表現には限界がありますから、あんまり太郎ちゃんや首相を苛めないでね(笑)

そもそもGSOMIAとは

この「GSOMIA」でありますが「General Security of Military Information Agreement」の略です。日本語にすると「軍事情報に関する包括保護協定」ですね。

「軍事情報」は基本的に部外秘ですから、許可なく第3国に教えない・情報は厳重に保管する・情報にアクセスできる人を制限するなど、細かく制限が付いてます。
そのうえで、日本が集めた情報(インフォメーションとインテリジェンス)をKoreaに、Koreaが集めた情報を日本に、お互いに提供して共有しよう、っていう「約束」であります。
我が国はもちろんKoreaとだけではなく、アメリカやイギリス・フランス・NATO(北大西洋条約機構)とGSOMIAを結んでいます。日・Koreaの場合は弾道弾や核実験など、北の黒電話国の情報が中心的にやり取りされているようです。

Koreaとは、2016年の11月23日にすったもんだの末に締結したモノです。これには色々経緯がありまして。実は、日・KoreaのGSOMIAを結びたかったのは日本ではなくてアメリカだったんですね。

理由はいろいろありますけど、北やChinaからのミサイルを防衛するのに、日・米で情報をやり取りしますよね。アメリカはKoreaとも一応同盟国だから、この情報を教えてやりたい(教えてやるから、自分でちゃんと防衛しろ!ってこと)。

ミサイル風刺イラスト

北ミサイル風刺イラスト

でも、Korea軍は情報ダダ洩れ軍だから、自衛隊の能力が敵性国家に漏れちゃう恐れが高い。日本は嫌なんですよ。それで、GSOMIAでKorea軍の中でも、情報に触れる範囲を限定しよう、ってワケなんです。

ところが、この経緯をどうひねくって変な解釈をしたモノか、「Koreaから情報が入らないと、我が国もアメリカも困る」みたいなことを言い出すメディアとか軍事専門家とかTVのコメンテーターとかが湧いておるんであります。

確かに、Korea軍は北ミサイルの発射点に近いところで、コレを観察していますから、我が自衛隊よりも正確な観測ができる可能性はあります。
また北とは距離が近いだけではなく、地続きですから人的な情報も取りやすいでしょう(脱北者をイメージしてください、それだけじゃないですけど)。

でもね、7月25日だったかな?Korea軍ったら北のミサイルの飛距離を「600キロ飛んだ」と発表してたのに「420キロだった」とか訂正したことがありますよね。この後、さらに自衛隊のデータを照合して、再訂正がありました(再訂正分のニュースがなぜかnet上から消えてます)。

一応、北のミサイルがロシアの「イスカンデル」の模造品だったため、みたいな言い訳してますが、Korea軍って、たかが600キロ先の弾着さえ観測できないってことですよね。
彼らは観測衛星も持ってないし、ちゃんと海に浮かぶイージス艦もないから仕方ないんですけど。つまり、こういう情報は日本に頼らないといけない、ってこと。
だからこそ、アメリカ軍が「GSOMIA結んでやってえな」って言ってきたんです。

一方、半島の南部にはアメリカ軍が居るし、当然彼らだって北を監視するのも任務のウチ。Korea軍しか持ってない(取れない)情報なんて、たいしてないんですよ、質量ともに。

インテリジェンスは作るモノ

さて、ココまでKoreaには碌な情報を取ることなんてできない、と言う話をしてまいりました。意識的に「情報」って言ってきましたが、情報=インテリジェンスではありません。

IT関連のお仕事の方だと、「インフォメーション」の方じゃね?とごく普通に思われるのかも知れませんけどね。

一般的には、インフォメーションとは、「ただ伝え聞いてそのままの状態の情報」ですね。それに対して「加工された情報、つまり信憑性を吟味して解釈を施した情報」がインテリジェンスです。

極論になりますが、インテリジェンスはそれなりの能力を持った人がそれなりの訓練を積んで、初めて「生産」できる家内工業か手工業の製品みたいなモノなんであります。

それは軍事情報でも同じことで、むろん素材としての「インフォメーション」は大事です。料理に例えれば食材ですね、野菜や肉や香辛料などなど。
提供する料理の価格とか許容される原価率に合わせて、最も美味しくなるモノをチョイスしなければいけません。仕入れ先の選択も含めてね。コレが「インフォメーション」の獲得。

原爆アタマ

原爆アタマ

ただ、それだけではお客様に出せる料理ではありません。
腕のシッカリした料理人が切ったり削いだり焼いたり煮たりして、愛想のよいウェイターさんか別嬪のウェイトレスさんが運んでくれなきゃ「おいしい食事」にはなりませんわね。

素材が調理されて、私が座っているテーブル上で料理が披露されるまでの過程(室内をきれいにしておいたり、テーブルをセッティングすることも含めて)が「インテリジェンスの生産」です。

因みに、この場合の「私」は一国の首相であるとか、参謀総長とか軍令部総長ってことになります。

Koreaの料理は

GSOMIAでやり取りしてた「情報」ですが、Koreaから貰っていたのはインフォメーションしかなかった、と思われます(GSOMIAでやり取りしてる情報の内容は推測するしかありません)。
もちろん、インフォメーションも大事です。食材が無ければ料理は出来ないんですから。

でも、その食材はKoreaっていうお店でしか調達できない、ってワケではありません。アメリカ屋さんでもたくさん売ってるんですから。

問題はおいしそうに完成した料理は日本・アメリカから一方的にKoreaに流れていた、ってことです。GSOMIAを結んだはじめから、そのことは判っていましたから、日米にとってはそのことは問題ではありません。

ただ、GSOMIAを破棄してしまった今後は、Koreaには北やChinaに関する上質なインテリジェンスを手に入れる手段がなくなった、ということなんです。

アメリカも我が国からのインフォメーションとインテリジェンスをもとに、アメリカなりのインテリジェンスを生産しています(近江牛のパティを仕入れてハンバーガーを作ってるイメージですね)から、それを我が国とGSOMIAのないKoreaに提供することは出来ません。

なら、Koreaが自力で生産すれば良さそうですが、それも出来そうにありません。例えば、さきほど例に出したミサイルですが、Korea軍のレーダーでもそれまでのような高度が出てないことは読み取れていた筈です。

であれば、着弾点が見えなくても(これも恥ずかしいことなんですが)「600キロじゃない」ことは判ったに違いありません。冷静に緻密に観測すれば誰にでも判りそうなのに…

つまり、Koreaは国民性としてインテリジェンスの生産ができないんじゃないか?と思われるんです。

インテリジェンスの生産サイクル

インテリジェンスの生産サイクル

と言いますのは、「インテリジェンスの生産」はこの図のような「インテリジェンス生産のサイクル」に則って作られていきます。

まず、カスタマー(政策・戦略サイド)から情報サイドに注文があることにご注目ください。情報部門は24時間365日世界中のすべての場所からすべての分野のすべての情報を集めてるわけではありません。

「北の方の黒電話アタマ国が、中東の某国からミサイル仕入れやがったんで、迎撃方法を確立しておきたい」ってな注文があるんですね。

注文を受けた情報サイドは、某国や黒電話国に仕込んでおいた工作員にミサイルの性能を聞いたり、発射テストの様子をそれなりの部隊に頼んでモニターして貰ったりしてインフォメーションを収集します。

コレで、問題のミサイルの性能(搭載できる弾頭だとか射程距離とか移動が簡単か、など…)を導き出すのがインフォメーションの加工。

加工して、「ああ、あのミサイルなら射程が短いから、ウチの国まで届きませんよ。Kuso国が狙われてるから教えといてやりましょうか?」って段階がインフォメーションの分析。

そして最後に「伝達」。軍事的には「配布」とも言われますね。カスタマー(政策・戦略サイド)に調査結果をフィードバックしてるととらえても良いし、注文されたインテリジェンスを納品してると取っても良いのです。

納品を済ませて、生産サイクルが完了するわけですね。

国民感情優先のKoreaには絶対ムリ

で、問題は「発注」と「納品」に「感情」が多分に入り込んでるってことなんであります、Koreaでは。途中にも入り込んでるかも知れませんが、私には検証のやりようがありません。

つまり、これまでのKorea(とくにムン政権になってから)のやり方を見てると、
「北と仲良くしたいんで、あんまり良い性能のミサイルじゃないと良いなー」
と言いながらミサイル情報を「発注」してる、としか思えないんです。
もちろん、ハッキリとこんな言い方するワケはありませんけどね。でも、情報サイドは注文をもらう側ですから、「忖度」するんです。

政策・戦略サイドは、本来なら「納品」されたインテリジェンスを元にして政策や戦略を決定するべきなんです。ってか、ほとんどの国はそうやってます。

電話

電話

ところがKoreaの場合、国内の支持動向やら糞みたいな大統領の理想(統一高麗)が先にあって、ソッチを元に政策・戦略が決まってますから、決定してる政策・戦略に合致するインテリジェンスだけを受け入れるんですね。

情報サイドは使われてる側ですから、受け取ってもらえないインテリジェンスは産まないようにします。インフォメーションをムンちゃんが好む形に加工しちゃうんです。

かくてKoreaの「インテリジェンス生産のサイクル」は「捏造インテリジェンスのサイクル」へと変貌を遂げている、と推察されるのです。

ムンちゃんにとって耳ざわりの良い情報しか「納品」できないKoreaの情報部門を、何とか機能させてきたのが日・KoreaのGSOMIAだった(これがあるから、アメリカの情報もKoreaに入ってた)のですが。

滅亡

滅亡

「ムンちゃんは感情に任せて最悪のカードを切っちゃった」というのが電脳大本営の見立てであります。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA