大艦巨砲は本当に飛行機に負けたのか

九九艦爆イラスト

フェイスブックの方では

先日、大艦巨砲主義に関するブログ記事の紹介があって、かなり意見交換がされてました。

ご興味のある方は「軍事・軍隊・武器・兵器・戦術・戦略等軍事関連の研究」グループのスレッドから当該記事をお読み頂きたいと存じます。
なかなかしっかりした記事で、先日来こちらも話題となってる「軍事ライター」清宮某とやらに爪の垢を飲ませてやりたい位です。
大艦巨砲主義イラストフェイスブックのグループ記事

大筋では賛成ですが

記事の概要は、
「旧海軍の軍備整備方針を大艦巨砲主義と批判するのは、大東亜戦争以前の国策の誤り、すなわち米国を仮想敵とした事のあまりの惨めさから国民の目を逸らしている」
と言うことでしょうか。

私もこの見方には賛成です。ただ、米国を仮想敵としたことは日露戦争後の自然な方針ですし、国「防」方針としては正しかったと思います。
なんとなれば我が帝国が南進しなくても、支那大陸を勢力範囲に収めたい米国が日本の国益を犯しただろうからです。

それでも、国を護る方策があっただろうと、私は思っています。
SF的な、あるいは後だしジャンケン的な発想ではありません。
当時のちょっとした国際情勢に関する知識と科学的な思考能力がある一般市民なら、考え付くことのできる当然の方策として。

それは、今後ゆっくりと紹介させていただき、皆さんの批判に晒していくとして、今回は

大艦巨砲は本当に飛行機に負けたのか 

を考えてみたいと思います。

次の表をご覧ください。
大東亜戦争中の大日本帝國戦艦の喪失原因です。

戦艦
原因 隻数 艦名 比率
水上艦と戦闘 4 比叡・霧島・扶桑・山城 33%
航空機の空襲 5 大和・武蔵・榛名・伊勢・日向 42%
潜水艦の雷撃 1 金剛 8%
事故で喪失 1 陸奥 8%
機雷で喪失 0 0%
残存 1 長門 8%

ほら見ろ、空襲で5隻!と仰らずに良く艦名をご覧ください。
榛名・伊勢・日向の3隻はどこで沈んだのか。

すべて内地に帰還して燃料もなく、停泊したまま身動き出来ずに爆撃されたものではないでしょうか?
回避運動など当然出来ず、対空戦闘は行ったと言うものの砲塔旋回の動力すら満足になかった状態で被弾着底させられてしまった艦を、「飛行機に沈められた」と言いきって良いものでしょうか?

この3艦が自由に太平洋を走り回っていたら撃沈されたのでしょうか?
榛名はともかくとして、伊勢と日向はレイテ沖でかなりの規模の空襲を受けながら無傷で生還しています。

大和と武蔵も

我が国の喪失戦艦11隻の内、2隻だけが実際に「飛行機により撃沈された」戦艦なのです。

自由に走り回って、飛行機に沈められた大和と武蔵にしても、大和は延べ1000機に上る空襲と言われますし、武蔵も一説には(武蔵の戦闘詳報は疑問点が多すぎるんで)33本もの命中魚雷による浸水過多が直接の原因・・・

一方で、敵の戦艦と正面から殴り合って戦艦らしく沈んだのは4隻。

「巨砲」はともかくとして「大艦(戦艦)」は飛行機ではなく、やはり戦艦に敗れたのではないのか?って疑問。

私みたいな「軍艦」好き(私は海軍好きなんですが、帝国海軍首脳部のあまりの無能ぶりが恥ずかしすぎて、素直に海軍好きと言えぬのです)には当然沸いてくるんじゃないかと思うんですけど、あまり目にしませんね(笑)
ならば電脳大本営が言ってやろうじゃないですか。

小艦艇は

それでも、私たちのイメージとして「大東亜戦争の海戦は米軍の航空機にやられた」と認識してしまうのは何故でしょうか?

次の表は艦種別の喪失原因です

沈没原因 戦艦 空母 重巡 軽巡 駆逐艦
水上艦と戦闘 4隻 0隻 2隻 2隻 23隻 31隻 14.3
航空機の空襲 5隻 14隻 10隻 10隻 64隻 103隻 47.6
潜水艦の雷撃 1隻 9隻 5隻 9隻 47隻 71隻 33.1
事故で喪失 1隻 0隻 0隻 0隻 2隻 3隻 1.4
機雷で喪失 0隻 0隻 0隻 0隻 8隻 8隻 3.6
喪失計 11隻 23隻 17隻 21隻 144隻 216隻 100
残存 1隻 2隻 1隻 1隻 33隻 38隻
12隻 25隻 18隻 22隻 177隻 254隻

かなり複雑かつ微妙な沈没原因の艦もありますが、まあ、こんなところかなと。

これを見ると米軍機は、もともと攻撃に対して脆弱な航空母艦や小艦に対して猛威を振るった事が判ります。

秋月級イラスト

秋月級防空駆逐艦も米軍機には無力だった? 長10センチ砲はもっと有効に使えなかったのか

 

つまり、大艦が航空機に負けた訳ではなく小艦艇が負けたんだ、とは言えないでしょうか?

以上、屁理屈みたいな「大艦巨砲」擁護でしたが、小艦艇の方はどうしようもなかったのか?

航空機に対抗する事は全く不可能だったのでしょうか?帝國海軍はどうすべきだったのでしょうか。

皆さんはどのようにお考えでしょうか?

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大艦巨砲は本当に飛行機に負けたのか” に対して2件のコメントがあります。

  1. あぶらみだいふく より:

    ご挨拶もなく、大変失礼いたしました。
    最近このサイトを発見して、楽しく読ませていただいております。
    軍事はかじっただけの素人ではありますが、人の生死というところを抜きにすれば、深いネタが満載だと思っております。

  2. あぶらみだいふく より:

    最初から相手がわかっていて準備できるとしたら空母側は戦闘機要らない??
    雷爆機オンリー120機のエセックスvs大和タイマン勝負としたら、エセックス無傷で大和撃沈かなあ・・・対空砲の性能や沖縄特攻時の結果を踏まえても、撃墜数も期待できないような気も。時間制限アリなら中~大破で踏ん張るかな?

    世界的にみても、洋上航行作戦行動中の戦艦が撃沈されたのは、他にはPOW&レパルスだけですよね。フリッツXでやられたイタリア艦はカウントするか微妙・・・

    戦艦と空母どっちが強いというか、例えば、ミッドウェーでは戦艦をもっと島に接近させて砲撃させるとかできなかったのか悔やまれるところです個人的には。南雲隊から少しでも上空直掩に振り分けて、1回でも地上砲撃してしまえば、島は艦砲射撃、南雲隊は空母戦に集中できますから。

    結局は運用・・・ 物量の差はありますが、アメリカは艦砲射撃に活用しましたし、南太平洋海戦や、末期の特攻防衛では戦艦も威力発揮しましたよね・・・・

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